*華月譚*花ノ章 青羽山の青瑞の姫
(………たしかに、青瑞の姫占いで儲けた金は、赤毛の男の首にかけられた賞金など、ゆうに越えてしまった。


それに、まだまだ稼げる見込みもあるしな………。



この女を手放すのは惜しい、惜しすぎる。



………火影童子のことは、諦めるしかないか………)






息吹は頭の中で目まぐるしく計算し、ふぅと溜め息をついた。







「………分かったよ。


お前の言う通りだ。



火影童子は腹の立つ奴だが、仕方ない。



ーーー天城、こいつの縄を解いてやれ」







息吹がそう告げた瞬間、汀は慌てて灯の縄をぎゅっと握った。







「ま、待って、息吹!!


この人は、とりあえず青羽山に連れて行きましょうよ!!」






「はぁっ!?」







灯と息吹の驚きの声が重なった。






「なぜだ、お前はこいつを助けたいんじゃないのか?」







息吹は訝しげに眉を顰める。






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