*華月譚*花ノ章 青羽山の青瑞の姫







(………この状況下で、よくもこんなにぐうすか寝られるな………)





呆れ返った溜め息をこぼして、灯は隣で丸まって眠る汀を見下ろした。






(こいつは食い物と地面さえあれば、どこででも生きていけるんだろうな)






などと考えて、思わずくすりと笑いが洩れた。





このようなのっぴきならない現況に陥った元凶である汀自身は、相変わらず何も考えていないようだが。






しかし灯は、壁にもたれて、立てた膝に頬杖をつき、




(さて、これからどうしようか)




と考えを巡らせていた。






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