*華月譚*花ノ章 青羽山の青瑞の姫
白鷺の真摯な眼差しを受けながら、灯は軽く首をひねる。






「ーーーお前の言っていることは、よく分かったが。



………しかし、なぜお前が、そんなことをしてくれるんだ?


お前はこの青羽山の盗賊たちの一員なんだろう?」







すると白鷺は、ゆっくりと大きく一つ、瞬きをした。






「…………私は、あなた方が傷つけられるのを見るのが、嫌なんです」






「……………」






「いえ、というよりも………。


あなた方を傷つける息吹を見るのが………嫌なんです」







白鷺は目を伏せるようにして呟いた。







「…………なるほどな」







灯は納得したように頷いた。




そして、寝こけている汀の頬をぺちぺちと叩く。




反応が無かったので、床にゆったりと広がっている黒髪をぐいぐいと引っ張った。






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