*華月譚*花ノ章 青羽山の青瑞の姫
牢のある洞窟の出口のところで、灯は足を止めた。
外の様子を窺うように、耳と鼻の感覚を研ぎ澄ませる。
付近に人の気配がないのを確かめると、足を忍ばせて歩き始めた。
すぐ後ろで立っていた汀と白鷺も、黙って後に続く。
外に出ると、灯がちらりと白鷺を振り向いた。
「………藤波ーーーこいつと一緒にここにやって来た少年がいただろう?
あいつが今どこにいるか、分かるか?」
そう問われて、白鷺は軽く首を横に振る。
「………いえ、分かりません。
息吹や天城から、色々と用を言いつけられて、むすっとした顔であちこち行っているようです」
「そうか…………」
灯は息を洩らすと、すぅっと目を閉じた。
藤波の気配を求めて、聴覚を尖らせる。
外の様子を窺うように、耳と鼻の感覚を研ぎ澄ませる。
付近に人の気配がないのを確かめると、足を忍ばせて歩き始めた。
すぐ後ろで立っていた汀と白鷺も、黙って後に続く。
外に出ると、灯がちらりと白鷺を振り向いた。
「………藤波ーーーこいつと一緒にここにやって来た少年がいただろう?
あいつが今どこにいるか、分かるか?」
そう問われて、白鷺は軽く首を横に振る。
「………いえ、分かりません。
息吹や天城から、色々と用を言いつけられて、むすっとした顔であちこち行っているようです」
「そうか…………」
灯は息を洩らすと、すぅっと目を閉じた。
藤波の気配を求めて、聴覚を尖らせる。