*華月譚*花ノ章 青羽山の青瑞の姫
汀は肘のあたりまで水中に引き込まれながら、必死に顔を上げて口をぱくぱくしている。
青瑞の姫に何か語りかけているようだ。
しかし、周囲で蠢く樹々のざわめく音や、吹きすさぶ風のせいで、その言葉は灯の耳でも聞き取れなかった。
(…………あいつはまたっ!!
何を呑気にーーーっ)
見ている間にも少しずつ体勢が崩れていく汀に、灯は焦りを隠せない。
しかし目の前に、他の火の粉が降りかかっている。
「………くそっ、火影童子めっ!
ちょこまかしやがって………観念しろ!」
息吹は姿勢を立て直して灯に向き直り、刀を構えた。
「はぁぁーーーっ!!」
「……………くっ!!」
灯はよろめきながらも、一歩下げた後ろ足でなんとか踏みとどまる。
青瑞の姫に何か語りかけているようだ。
しかし、周囲で蠢く樹々のざわめく音や、吹きすさぶ風のせいで、その言葉は灯の耳でも聞き取れなかった。
(…………あいつはまたっ!!
何を呑気にーーーっ)
見ている間にも少しずつ体勢が崩れていく汀に、灯は焦りを隠せない。
しかし目の前に、他の火の粉が降りかかっている。
「………くそっ、火影童子めっ!
ちょこまかしやがって………観念しろ!」
息吹は姿勢を立て直して灯に向き直り、刀を構えた。
「はぁぁーーーっ!!」
「……………くっ!!」
灯はよろめきながらも、一歩下げた後ろ足でなんとか踏みとどまる。