*華月譚*花ノ章 青羽山の青瑞の姫
そして、両手を繋ぐように絡みついた蔦を、振り下ろされる刃の切っ先に当てるようにした。





満身の力を込めた息吹の刃が、鋭く空を切り、蔦に食い込む。




灯はすかさず両手を押し上げ、刃先を利用して蔦を切り裂くことに成功した。






刀を振り下ろした勢いの行き先を失った息吹は、拍子抜けしたように体勢を崩した。




灯は上半身を逸らして、さっとそれを避ける。





息吹が倒れこんで地に片手をついたところで、灯は自由になった両手で息吹の腕を打ち、刀を奪った。







「…………あっ!!


火影童子っ、このやろっ!!」






息吹は悔しそうに顔をしかめ、すぐさま立ち上がって灯に飛びつこうとする。





それを峰打ちで妨げると、灯は素早く刀を振るって、足に巻きついていた葦を断ち切った。






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