*華月譚*花ノ章 青羽山の青瑞の姫
宙から舞い落ちる形になった灯を、青瑞の姫は満面の笑みと広げた両腕で迎え入れる。






「…………なっ!?」







青瑞の姫の歓喜の表情を見下ろして、灯はぞっとして顔を引き攣らせた。






(……………どっ、どういう風の吹き回しだ!?)






先ほどまで全力を挙げて攻撃してきていた青瑞の姫の豹変ぶりが、意味不明すぎて無気味だ。





しかし、すでに青瑞の姫に向かって真っ直ぐに落ちている最中なので、どうにもならない。






「…………なんなんだよ、一体!?」






灯は悲痛な叫び声を上げながら青瑞の姫の腕の中に飛び込んだ。






『あなた、あなた!!』





「………………はぁっ!?」





『やっと私のもとに帰って来てくれた!』





「な、なんの話だっ!!」






涙を流さんばかりに喜ばしい表情になった青瑞の姫に、灯はぞぞっと悪寒を走らせた。







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