*華月譚*花ノ章 青羽山の青瑞の姫
家に勢いよく飛び込んだ汀は、身支度をしていた檀弓を見つけて駆け寄った。






「檀弓さんっ!!


藤波ちゃんはどこっ!!??」






「……………え? あっちだけど。



え、え? 藤波、ちゃん………?」






「あっちね、ありがとう!!」






目を白黒させる檀弓を置いて、指されたほうへ汀は走り去った。






その後ろ姿を檀弓が呆然と見送っていると、ちょうど卯花が帰って来る。




檀弓の顔色を見て、すぐに卯花は状況を察知した。






「………もしかして、汀さんに会った?」





「………ええ、会ったわよ。


なんでか分からないけど、藤波のこと………ちゃん付けで呼んでた」






「………ごめん。それ多分、私のせい。


説明のしかたが紛らわしかったみたいで」






「………というか、汀がそそっかしすぎるんだと思うけど」







二人は顔を見合わせてから、これから藤波の身に起こる事態を想像し、ぶっと噴き出して大声で笑った。







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