*華月譚*花ノ章 青羽山の青瑞の姫
汀は藤波の言葉を、気遣いからのとぼけと解釈し、とうとう涙をぽろりと零した。





「…………あぁっ、ごめんなさいね、藤波ちゃんっ!!」






叫んだ汀は、ぎゅっと藤波に抱きついた。





長い髪を無造作に束ねた藤波の頭を、さわさわと撫でる。






「………つらかったでしょう、今まで。



私、なんと謝ればいいのか………っ!!



私を殴ってくれていいのよ!!


蹴ったっていいわ!



それくらい、藤波ちゃんの思いを考えれば、当然のことよ!!」






「…………はぁっ!?


なんで俺が、汀を殴らないといけないわけ!?」






「遠慮しなくていいの!!


殴ってちょうだい、藤波ちゃん!!」






さらにぎゅうっとしがみつくように藤波を抱き締めた汀は、あることに気づく。






「…………まぁ」






呟いて、藤波から身を離すと、その腹をなでなでと触る。






「なっ、なにやってんの!?」






藤波は顔を赤らめて汀の肩をつかみ、離れようとする。




しかし汀の手は止まらない。






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