*華月譚*花ノ章 青羽山の青瑞の姫
灯と藤波の両方から叫ばれて、汀は混乱したように頬に手を当てる。






「…………えぇっ? どういうこと?



藤波ちゃんは、女の子じゃないの?」






「そんなわけ、あるかっ!!」






灯は呆れたように言った。




藤波もこくこくと頷く。






「俺はただ、荷物持ちに連れて行かれるだけだよ!!


男だからな!! 力があるからだ!!」






「……………んまぁ」







自分の派手な勘違いにやっと気がついた汀は、照れ笑いを浮かべた。






「ま、私ったら、てっきり、藤波ちゃんも女の子だったんだわと思って。


ふふふ、失礼しちゃったわね」






にっこりと笑いかけられて、藤波は「ちゃんじゃないっ!!」と再び叫んだ。






「そそっかしいにも程があるぞ、お前はっ!!」






灯はもう一度、汀の頭をはたいた。







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