*華月譚*花ノ章 青羽山の青瑞の姫
合図を受けた藤波は、嫌そうな顔でしばらく動かない。



汀は焦れたように合図を繰り返した。





(…………しょうがないなぁ。嫌だけど)





藤波は溜め息を吐いてから、大きく息を吸い込んだ。






「ーーーーーあっ!!


あれ、賞金首の赤毛の男じゃないか!?」





汀から頼まれた通りの言葉を、藤波はいやいや叫んだ。




しかし、その声はやる気のなさと羞恥のために、小さくて人々に届かなかった。





汀は、もう一度、もう一度、と身振りで示す。




藤波はまたも嫌そうに溜め息をついて、それでも今度は腹に力を込めた。






「…………あーーーっ!!


お触れが出ている賞金首の、赤毛の男が、こんな所に!!」






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