*華月譚*花ノ章 青羽山の青瑞の姫







「ねぇ、聞いたかい?


いま賞金首になっている、赤毛の男の話を!!」





「あぁ、東の市の近くに現れたとかいう話か?」





「そうだよぉ。どうやら賞金首になってる赤毛の盗賊は、西の白縫山の火影童子じゃなくって」





「東の青羽山(あおばやま)にいる盗賊のことらしいなぁ」





「あぁ。赤毛の人間なんてのが二人もいると思うと、奇妙なこともあるもんだな」





「そういや、東の赤毛の盗賊は、女男らしいな」





「えっ!? どういうこったい?」





「なんでも、くねくねしながら女言葉をしゃべる、小柄な男だったらしいよ」





「へぇ、そりゃ初耳だ。驚いたなぁ」






そのような会話が、都のあちこちで交わされていた。





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