*華月譚*花ノ章 青羽山の青瑞の姫
そこで商人がふと思いついたように、代表の男を見上げる。





「そーいや、なんだか最近、ここらあたりで変な噂を聞いたぞ」





男はぴくりと眉を震わせた。





「………へぇ? なんだい」




「内裏に侵入したってんで賞金首になってる赤毛の男は、東の青羽山に住んでる盗賊なんだと」





商人の言葉に、男が眉を顰める。





「………はぁ? なんだそれ。初耳だぞ」




「だよなぁ、俺も変だと思ったよ。青羽山の盗賊に赤毛なんかいなかったはずだが、と思ってな」




「いないさ、もちろん。一体、どういうことなんだ………」





男が難しい顔で顎に手を当てた、その時。





「いい馬ねぇ!! いくらかしら!?」





底抜けに明るい声が、男の背後から飛んで来た。






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