*華月譚*花ノ章 青羽山の青瑞の姫
*
「…………なん、だって?」
そう低く呟いた灯のこめかみに浮かんだ青筋を、露草はびくびくしながら見つめる。
「………もう一度、言ってくれ」
灯は精一杯の冷静さを纏いながら、露草に訊ねる。
露草はごくりと唾を飲み込んで、じっと灯を見つめて答えた。
「ですから、あの………。
姫さまーーー汀さまは………都でお姿が見えなくなってしまいました」
「…………皆と一緒に買い物に行っただけで、なぜ、そうなる?」
灯の全身から発せられる不穏な空気をひしひしと感じつつ、露草はふるふると首を横に振る。
「…………わたくしには、分かりません。
とにかく、皆さんが気づいたときには、もう、お近くには姿がありませんでした………」
「〜〜〜〜〜っ!!」