*華月譚*花ノ章 青羽山の青瑞の姫








「…………なん、だって?」





そう低く呟いた灯のこめかみに浮かんだ青筋を、露草はびくびくしながら見つめる。





「………もう一度、言ってくれ」





灯は精一杯の冷静さを纏いながら、露草に訊ねる。





露草はごくりと唾を飲み込んで、じっと灯を見つめて答えた。






「ですから、あの………。



姫さまーーー汀さまは………都でお姿が見えなくなってしまいました」






「…………皆と一緒に買い物に行っただけで、なぜ、そうなる?」






灯の全身から発せられる不穏な空気をひしひしと感じつつ、露草はふるふると首を横に振る。






「…………わたくしには、分かりません。



とにかく、皆さんが気づいたときには、もう、お近くには姿がありませんでした………」






「〜〜〜〜〜っ!!」







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