それでも私は『   』ます。

「リアン、パティシエの名前は?」

「リュカス。カミル・リュカスよ。」

「リュカスね、ぜひ挨拶がしたいわ。」
 
 リュカス・・・どこかで聞いた気が・・・


「ではお母様、探してきますね。」

 上機嫌でリュカスを探しにいくリアン


「サーラさん?どうかしましたか?」

「!・・・いいえ、何でもないわ。」

「大丈夫ですか?もし、疲れたのなら私に気を使わずに休んでくださいね。」

「本当に大丈夫よ。でもありがとうサーラさん」

「お母様!イレーヌ様!」

「お初目にかかります。パティシエのカミル・リュカスと申します。」

「あなたがリュカスね。とってもおいしいケーキをありがとう」

「自分にはもったいない、ありがたいお言葉です。」


 カミル・リュカス・・・

 明るい金髪に茶色の瞳

 この色は確か・・・

 思い出した


「そんなこと無いわ、本当においしかったもの。ねぇ、イレーヌさん」

「えぇ、本当においしかったわ。ぜひ今度ナイトリアにも来て頂戴。」

「ありがとうございます、イレーヌ王妃。」


 さすが才女といったところか。頭では別のことを考えながら、ちゃんと会話をするサーラ


「リアン、ケーキはもういいの?無くなってしまいそうよ?」

「え!いけない!お母様、ケーキを食べてきます!」

「えぇ、いってらっしゃい。」

「リュカス、あなたのケーキはとてもおいしいわ。」

「そう言って下さると嬉しいです。サーラ王妃。」

「随分謙虚ね。」

「サーラさん?」

 こちらもさすがの才女イレーヌ

 サーラの目が少し懐かしむような目になったのを見逃さない

「ふふ、久しぶりね。リュカス。」

「‼覚えていて下さったんですね、サーラ様。」

「サーラさん、彼を知っているの?」

「えぇ、彼はリライフの使用人の子よ。随分大きくなったわね。」

「あら!そうだったの。」

「昔、リアンの相手をよくしてくれてたわね。」

「昔の話です。リアン様はもう覚えていないようですし。」

「あなたがリライフから出て行ったのはあなたが10歳で、あの子は4歳。無理もないわ。」

「10歳で、1人立ちしたの?」

「はい、どうしてもパティシエになりたくて城下で有名なパティシエに弟子入りしました。」

「えらいわね。息子にも見習わせたいわ。」

「ダイヤ様は十分立派な方に見えますよ。」

「嬉しいことを言ってくれるわね。」

「思った通りのことを言ったまでです。そろそろケーキが無くなりそうですが追加はどうされますか?」

「本当ね。じゃぁ追加をお願いするわ。」

「かしこまりました、サーラ様。」





< 32 / 36 >

この作品をシェア

pagetop