彼と私の恋愛事情
あっという間に、もう放課後だ。
葵君はすぐに廊下に出て行った。
えーと、葵君は…
いた!
「葵君!」
「え?」
葵君は驚いたように振り返る。
話したことないし、当然か。
「私ね、佐倉綾乃の親友の、有野 渚っていうの。」
「あぁ、綾乃の親友さんか。よろしく。」
「こちらこそ。えっと、綾乃のことで、聞きたいことがあるの。」
「聞きたいこと?」
「うん。単刀直入に言うけど、綾乃と別れたんでしょ?好きな人ができたのよね?」
「まぁ。」
「綾乃以上に良い子なんて見つけられたの?ねぇ。どうなの?」
「……あのさぁ、これは俺と綾乃の問題だろ。あんたに関係あるか?」
「あるわよ!!!」
突然叫んだ私に葵君は驚いている。
「あるわ、あるわよ!
…私は綾乃の親友だって言ったじゃない?だから、あの子をフった理由くらい、好きな子くらい聞く権利はあるでしょ!」
だって、あの子に嫌な思いさせたくない。
「ねぇ、葵君。あなた、本当はまだ、綾乃のこと好きでしょう?」
「そんなこと、ねぇよ。」
「自分の顔見てから言いなさいよ。
あなた、綾乃と別れてから、ずっと苦しそうな顔してるわよ?」
「…っ」
「何か、理由があるんでしょう?
教えてくれるなら、もう首突っ込まないわ。」
理由によっては殴ることもあると思うけど。
「…わかった。教えるよ、本当の理由を。」