彼と私の恋愛事情

本当の理由

〜渚side〜

「……ってこと。俺が死んだら、あいつは…綾乃は、泣くだろ?悲しむだろ?
俺はそんなことは望んでない。
だから、だから別れたんだ。
俺が死ぬ前に。」

信じられない…。
そりゃあ、何かはあると思っていたけど。

「そう、だったのね。」

「あぁ。俺は確かに、まだ綾乃のことが好きだ。いや、大好きだ。
でも、駄目だろ。こんな俺じゃ、駄目だろ?」

「…。」

「じゃあな。綾乃のこと、よろしく頼む。」



「ちょっと待って!!」

え?これは、綾乃の声_。

後ろを見ると、そこには目が真っ赤になっている綾乃が立っていた。
あぁ、泣いたんだな。

「ねぇ、葵。私、そんなの聞いてないよ。なんで、教えてくれなかったの?」

「それは…」

「葵。私、そんなに弱くないよ。
葵が泣くなって言うなら泣かない!
だから!
別れるなんて、言わないで…」

綾乃はその場に泣き崩れた。

「本当に、大丈夫なのか?」

綾乃は真っ赤な目をこすって、

「大丈夫だもん!」

途端、葵君は綾乃を抱きしめた。

さて、と。
邪魔者は退散しましょうかね〜。
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