レンタル彼氏を使ってみました(仮)
「別にその必要はないよ」
「え?」
「そもそもミスしてないし。むしろ、完璧」
私は唖然とした。
脳がフル回転してる。
「なら、どうして……」
「俺がお前を呼び出すように仕掛けたんだよ」
さっぱり意味がわからない。
「俺のこと忘れたの?ひより」
「何言ってるんですか。部長は部長じゃないですか」
「一夜を共にしたのになぁ~いや、一夜っつうか三日かっ」
近くまで来ると顎に手を当てられる。
そのまま柔らかな唇を重ねた。
とろけるような甘い感覚。
「翔……?」
「お前、気づくの遅すぎ。俺はひよりが会社に来たときすぐに分かったのに……」
「本当に翔……?」
「変わってないなお前。そうやって疑うとこ」
崩れ落ちそうになる私を、彼は腰を持って支える。
私は彼の胸にすがり泣きついた。
何も言わず彼は受け止めてくれるのが嬉しかった。
もう絶対に会えないっと思ってた翔が目の前にいる……
これは夢なのかと疑ってしまうほどに……
でも、彼の温もりは確かにここにある。
私は、どうしようもなく嬉しくて、胸がいっぱいっぱいだ。