レンタル彼氏を使ってみました(仮)
これは後から聞いた話だが、彼は私を最後にレンタル彼氏をやめたらしい。
そして普通の会社に就職。
しかもちゃっかり、私の住所データを持って。
だけど、私もそのあと引っ越しちゃったから無意味だったんだけど。
「おい、篠原。部長から呼び出し」
「はい。ただいま参ります」
こっちの仕事終わってないのに……
仕方なく部長室へと足を運ぶ。
「部長、お呼びでしょうか」
「おせーよ。ひより」
部長ともあろう方が靴を脱いでソファに足を抱えてちょこんと座っている。
「仕事の件じゃないなら、私、戻るよ」
「俺、もうひよりいないとダメ……」
小さく嘆く彼。
ひより、ひより、連呼してうるさいので仕方なく傍までいって話を聞く。
「で、何?ってちょ……」
「天成逆転!」
ソファに押し倒される私。
唇が触れる。
「やめてよ。ここ会社なんだから……」
「いんだよ。ひよりは俺の彼女だろ?ひよりいなくなったら俺、もう生きていけない……」
なんでこう私の弱いとこつくかな〜
そんなこと言われちゃうと、受け入れざる得なくなっちゃうじゃん……
部長室で私たちは何もかもが溶けそうなぐらい熱く、濃厚な口づけを交わしたのであった。