箱入り結婚のススメ
「ヤバイな。うれしすぎて、シチューの味がわからない」
「まさか……」
クスクス笑う私を、彼はじっと見つめる。
「舞さんを知れば知るほど、好きになる」
「えっ……」
「すごくかわいい人だ」
『かわいい』なんて言われて、思わず顔を伏せる。
恥ずかしすぎるから。
「こんなにピュアな人がいるんだって、出会ったときにそう思ったんだ。
なんというか、穢れを知らないというか。
若槻さんに、箱入りのお嬢さんなんだって聞いて納得したんだけど、僕としてはこのままの舞さんでいて欲しいなって」
私が顔を上げると、彼はとても真剣な顔をしている。
「僕は、舞さんを全力で守る。だから、舞さんは僕だけを見ていてくれないかな」
彼の瞳に吸い寄せられそうだった。
私……この人の彼女になれて、すごく幸せだ。
「はい」
恥ずかしかった。
だけど、彼はいつだって真剣に気持ちをぶつけてきてくれる。
私も、そうありたい。