箱入り結婚のススメ

「結婚の見通しがないと、園を辞めないといけないんだろう？」


私は小さくうなずいた。
それは嫌だ。だから、お見合いをNOと言えないのだ。


「僕は最初から、結婚を考えるつもりもないのに、付き合いたいとは思っていない。
だからといって、出会ったばかりなのに焦っている訳でもないけどね。
舞さんとはじっくり付き合って、もっと僕を知ってもらいたいし、舞さんのことを知りたい。
その先に結婚があればいいなと思ってる」


室賀さんが私のことを真剣に考えてくれていることが伝わってきて、すごく幸せな気分だ。

私もそうだ。
誰かと付き合ってみたいという好奇心がないわけではない。
だけど、遊びで付き合うつもりなんて少しもない。


「前にも言ったように、海外出張が多いから、寂しい思いもさせると思う。
だけど、必ず舞さんのところに戻ってくるし、いつも舞さんのことを思ってる」


少し恥ずかしくなった。
「愛してる」「好きだ」という直接的な表現とは違うけど、すごく大きな愛の言葉を囁かれた気がして。