箱入り結婚のススメ
第2章
父との対面
「ただいま帰りました」
「おかえりなさい。舞、お父様が呼んでいらっしゃるわ」
「はい」
思ったよりも早かった。
きっとお見合いの話だ。
あれから室賀さんと、私達の出会いが合コンなのは、やっぱり黙っておこうと車の中で話し合った。
父も母も、きっと合コンに対してよいイメージを持っていないから。
「座りなさい」
「はい」
父は妙に機嫌が良さそうで、なんだか気が重い。
「早速だが」
父が私に差し出したのは、予想通りお見合い写真だった。
「うちの社の有望株だ。慶応を卒業している二十九歳。
社内部の評判も高く、今から幹部候補だという声も上がっているくらいだ。
家柄も申し分ないし、かなり高条件の部類に入ると思うが」
私は形だけその写真を開いた。
スーツを着こなしたその人は、確かにとても誠実そうに見えて、好感度が高そうな人だ。
でも……。