箱入り結婚のススメ
「舞」
部屋に戻ろうとすると、私と同じようにリビングを出てきた母に呼び止められた。
「はい」
「あなた、本当にその人のこと、好きなの?」
「えっ……はい。まだお付き合いを始めたばかりですけど、とても素敵な人です」
「そう」
強烈に反対されるのではないかと思っていたのに、母は小さく頷くだけで、リビングに戻ってしまった。
私は部屋に戻ると、すぐにメールをしたためた。
"父と母に話しました。本当に週末、いいのですか?"
機械音痴の私は、長いメールを打つのも苦手で、絵文字もなにもないメールを送信した。
すると、すぐに電話が鳴った。
「もしもし」
『舞さん。もう話してくれたの?』
「いえ……やっぱりお見合いの話を持ち出されてしまって」
『早いね』
室賀さんは、電話越しにクスクス笑っている。