箱入り結婚のススメ

私の勝手な想像だった。
だけど、今でもふたりはとても仲が良く、母は父のことを尊敬しているように見えるし、父は母にねぎらいの言葉をかけることも忘れない。

ふたりは、私にとって理想の夫婦なのだ。


次の日、バス当番のために早めに出勤すると、もう一台のバス当番だった麻子も来ていた。

「おはよ、舞」

「おはよう。あっ……」

「"あっ"ってなに? 舞の”あっ”は怖いから」


そういえば、そんなことを室賀さんにも言われたような。


「ごめん。麻子の名前、使っちゃった」

「ホントに? それって、デートしたってこと?」


それ以上、なんだけど。
私は小さくうなずいた。

「やったじゃん。私の名前なんていくらでもどうぞ。
今日は事情聴取ね。勤務が終わったら、ご飯行こうか? 
あ、ダメか。昨日も行ってるんじゃ、連チャンだもんね。
それじゃあ、帰りにちょっとだけカフェね」


勝手にそう決めた麻子は、欠席のチェックをしてバスに行ってしまった。

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