箱入り結婚のススメ
「舞さんの、そういう素直な気持ちが、僕は好きだよ」
「えっ?」
「お父さんが言っていたよね。
お母さんが綺麗なところしか知らないからこそ、良いところがたくさんだって」
室賀さんは私の頭に手を置いて、優しく諭すように話す。
「舞さんも同じ。良い物は良いと言える。幸せだと涙を流せる。
そんな綺麗な心を持っているのって、本当に素敵なことだ」
「室賀さん……」
ハンカチを取り出してそっと涙を拭うと、彼は再び口を開いた。
「でも、これから僕がもっと幸せにする」
やっと涙を止めたはずなのに、再び流れ出してくる。
私は、たった一度の合コンで、最高の人と出会えたのかもしれない。