箱入り結婚のススメ

父は腕組みをしたまま動かなくなった。

父と母からしてみれば、娘の人生が、自分達の考えとは離れたところを歩き出して、戸惑っているのかもしれない。

幼稚園に勤め始めたころから、おそらく少しずつずれてきたのだと思う。

だけど私だって、自分の人生は後悔したくないし、あとでなにかあったとき、父と母のせいにしたくない。


ずっと限られた環境の中で過ごしていた頃は、なんとなく敷かれたレールに乗って、それでいいと思っていた。
でも、今はそれではイヤなのだ。

自分の中に、これほどまで自立したいという気持ちがあるとは意外だ。
もしかしたら、恋愛と同じように気が付いたのが遅かっただけで、もともとあった感情なのかもしれない。


「舞。自分の発言に責任を持つというのは、舞が思っているほど簡単ではない」


父は仕事でも責任ある立場にいる。
おそらく大切な決断を日々しているはずだ。

そんな父の言葉は重い。

< 147 / 450 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop