箱入り結婚のススメ
発表会の衣装作りが始まる今週は少し忙しくなりそうだ。
カフェに行けるかどうか怪しいけれど、麻子は行く気満々だった。
毎年恒例の発表会は、お遊戯をすることになっていて、子供達も楽しみにしてることが多い。
だけど、もちろん外遊びの方がいい子だっているわけだから、それをまとめてクラスでひとつの作品を作り上げるのは担任の腕にかかっている。
役決めだけでもたくさんのケンカが勃発する。
同じ役を数人ずつできるようにはしてあるものの、どうしたって好みの役というのは被ってしまうらしい。
「もう、僕やらないもん」
話し合いで決着がつかなかった場合、もうあとはじゃんけんしかない。
だけどすでにその役をやる気満々になっていた子の中には、ひどく落ち込んでしまうこともあった。
じゃんけんに負け、教室を飛び出していった清志(きよし)君を追いかけるのは、補助教員の私の仕事だ。
正担任は、そういう子に惑わされてはいけない。
彼らは追いかけてもらえるとわかると、その行為を繰り返すようになるからと園長先生に教えてもらったときは、子供の教育者ってすごいと思った。