箱入り結婚のススメ

集団生活では、全員が好き勝手していてはクラスが成り立たない。
だから我慢が付き物だ。

だけど、我慢の前に教えることがあるのだと、園長先生から学んだ。

自分の意見を言えるようになること。
その上で我慢すること。

そうでないとただ周りに流されて、自分でなにも選べない人間に育ってしまうと。

そして私は、今までそれが足りなかったのだと知ったのだ。



「そうだよ。みんな自分の意見があるでしょう? 
だから、どうしても言わなくちゃいけないときは言えばいいの。
清志君の場合、今回は頑張るぞって思っていたのに、じゃんけんで負けてしまって、とても悔しかったんだよね。
だから先生達は、張り切っていた清志君が頼もしいなと思ったんだよ」


雲の間から太陽が顔を出すと、ますます暖かくなった。


「ただね、大きくなってくると、それを言ってもいい時とダメな時がわかってくるんだ。
例えば今の場合だったら、あとで先生にこっそり教えてくれるとかね。
他にも悔しかったお友達もいるの。
だから悔しいと思うことは、悪いことじゃないんだよ」

< 181 / 450 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop