箱入り結婚のススメ
「もう、来るなら来るって言っておいてよ」
「いや、来るつもりはなかったんだけど、室賀が当たり前のように行くんだろ? って言うから」
「井出。バラすな」
ケラケラ笑う井出さんは、とても楽しそうだ。
「お前だって、若槻さんのことばっかりじゃないか」
室賀さんが反撃に出た。
「うるさいな。もう黙るよ」
麻子がふたりの様子を見て、こらえきれずに笑い出した。
私と麻子がふたりのことを話すように、室賀さんと井出さんも話していると思うと、なんだかおかしい。
だって、ふたりとも私達よりずっと大人に見えるし、恋の話をするようにはとても見えないから。
それから麻子が園の話を少しすると、「解散しようか」と井出さんが提案する。
会計を終えて店を出ると、麻子がニヤニヤ笑いながら、室賀さんに話しかけた。