箱入り結婚のススメ

「そんなことないって、わかってます」

「あぁ、よかった」


こうして和ませてくれるのも、彼の気遣いのひとつなのだと思う。
つくづく素敵な人の彼女になれたと思う。


「ほんとは、室賀さんのお部屋を見てみたいです」

「どんなに散らかってるか?」

「そんなに、ですか?」

「いやー、どうかな。今日、服を脱ぎっぱなしにしてきたような気もするし……」


私よりずっと大人に見える彼だって、全部が完璧なわけじゃないのかな。


「それじゃあ、向かうね。って、実は向かってるんだけど」


クスッと笑う彼を見て、緊張がほぐれた。


室賀さんの住んでいるマンションはとても新しかった。
六階建の六階に住んでいるという。
周りにもマンションはたくさんあったけど、一番新しい建物だった。

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