箱入り結婚のススメ

「お待たせ。なにか飲む?」

「はい。それじゃあ、コーヒーで」

「了解」


リビングに戻ってきた彼は、テーブルのカップを持ってカウンター式になっているキッチンに入っていった。


「適当に座ってて」


リビングの端には、大きなダークブラウンのソファ。
皮張りのソファは、座り心地が最高だ。


「あっ、私やりましょうか?」


勧められて一度は座ったものの、なんだか落ち着かない。


「それじゃあ、手伝ってもらおうかな」


キッチンに入ると、「これ、お願い」とコーヒー豆を渡される。
彼とこうして肩を並べてキッチンに立つって新鮮だ。


「うーん。甘いお菓子がないな。あんまり食べないんだよ」

「コーヒーだけで十分です」


キッチンはとてもきれいに片付いていた。
あまり使った形跡もないような。

< 231 / 450 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop