箱入り結婚のススメ
「室賀さん、料理されないんですか?」
「うん。苦手でね。インスタント食品にお湯を注ぐくらいしかできないんだよ」
苦笑いする室賀さんが、なんだかかわいらしく見える。
「それじゃあ、体に良くないですよ」
「そうだよね。舞さんが作ってくれるとうれしいな、なんて」
コーヒーカップを出しながら、少し照れくさそうな顔をしている彼に、思わず「作ります!」と宣言してしまった。
「ほんとに?」
「腕が治ったら必ず」
「それはうれしい。あのカレー食べたいな」
「わかりました」
私も彼が喜んでくれると、私もうれしい。
コーヒーを淹れてリビングのテーブルに運ぶと、私は彼の向かいに座った。
「いただきます」
初めての彼の部屋は緊張する。
だけど、室賀さんの優しい目を見ていると、彼とならもしそういうことになっても後悔しないだろうなと思う。