箱入り結婚のススメ
「秀明さん、私……」
「ごめん。手出さないって約束したのに。
やっぱりあの先生の存在を考えてしまうと、舞は俺のものだって証が欲しくて……」
秀明さんはテーブルのコーヒーカップを再び手にすると、「一番嫌われそうなこと、したね」と肩を落とした。
「私……秀明さんが好きです。
どうしたらいいのか全然わからなくて、ちょっと緊張しますけど……その先なんて、まだ全然無理ですけど……」
どうしよう。でも、このままではいけない。
だって、怒ってなんていないのだから。
それでも緊張のあまりに、勝手に涙が溢れてしまう。
泣きたいわけじゃないのに……。
こんな時に泣いたら、ますます誤解されてしまう。
彼に涙を見られないように俯くと、かえってポタリと涙がこぼれてしまった。
「ごめんなさい。違うんです。あの、これは……」
焦れば焦るほど、なにを言っていいのかわからなくなる。
だけど、次の瞬間……。