箱入り結婚のススメ
だけど父は……まだ複雑なようだ。
文句を言うこともないし、前のように園を辞めろとも言わなくなった。
だけど、あまりいい顔もしなかった。
やがて春が来ると、私も麻子も正担任としてクラスを任されることになった。
園長先生がそれぞれの適性を見て、麻子は年長に、私は年少の担当となった。
年少というのは、かわいいだけでは済まされない。
だって、彼らにとっては初めての社会なのだ。
しかも自分を守ってくれていた親からいきなり離されて、自分の意志で動かなくてはならない。
不安で泣き叫ぶ子もいる。
どうしていいのかわからずに、脱走しようとする子だっている。
三歳といえば、まだトイレだってうまくいかない子もいて、始まって一カ月は必ず、結婚などで退職した先生がバイトとして手伝いに来てくれるシステムになっているほどだ。