箱入り結婚のススメ
幸せへの入り口
秀明さんの帰国の日。
空港まで行きたかったけれど、到着時刻を聞くとまだ勤務時間内で、叶わなかった。
「これ、やっといてあげる」
彼が帰国すると知っていた麻子は、絵本の整理をしていた私の手を止めた。
「ありがと。それじゃ」
「うんうん。盛り上がっていらっしゃい」
「もう!」と言いつつも、気持ちは高ぶるばかりだ。
更衣室で服を着替えると、すぐに園を飛び出した。
バス停に向かう途中でスマホを手に取ると、秀明さんからの不在着信に気が付いて、すぐにかけ直す。
「もしもし、秀明さん!」
『舞、ただいま』
「おかえりなさい」
自然と足が早まる。
急いだって、バスの来る時間は決まっているのに。