箱入り結婚のススメ
『ちょっと、急展開じゃないの?』
「う、うん。私もびっくりしちゃった」
『それで、舞はなんと?』
「うん。お受けした」
私がそう言うと、麻子はしばらく黙り込んでしまう。
「麻子?」
『どうしよう、私。自分の時よりうれしいかも』
鼻をすするような音と、かすれる麻子の声が聞こえて、素敵な友達を持ててよかったと心から思う。
「ありがと」
『もう、ほんとに箱入り娘のこと心配してたんだから。これじゃあ、まるで親戚のおばさんだけど』
クスクス笑う麻子は、何度も何度も鼻をすする。
『舞。幸せになりなさいよね』
「麻子もだよ?」
『うん、もちろん』
最高の気分だ。
大切な友達が幸せを手にして、自分まで……。
麻子には、園に入ってから相当助けてもらった。
仕事も恋愛も。
彼女とはこれからもずっと、友達でいられる気がする。