箱入り結婚のススメ
「はぁー」
秀明さんの言葉と同時に、父が大きく息を吐き出す。
「まだ、早いのではないのか? 付き合い始めて、一年も経ってないだろう?」
「はい。そうですが、生涯を共にするのは、舞さんしかいないと思っています」
秀明さんがはっきりとそう口にしてくれるのを見て、やっぱりこの人についていきたいと思う。
「しかし、君は海外が多い。それでは舞が寂しいだろう?」
「おっしゃる通りです。
ですが、私は自分の仕事に誇りを持っています。
それを舞さんもわかってくれていると、感じています」
その通りだ。
彼が海外に行ってしまうと寂しくて仕方ない。
だけど、そうやって羽ばたいている彼が、私の誇りでもあるのだ。
それに、秀明さんが海外出張が多いことは、父だって最初から知っていたはずだ。
なにかしら、理由をつけて結婚を伸ばしたいようにしか見えない。