箱入り結婚のススメ
「舞さんを寂しくさせてしまうことは否定できません。
ですが、できるだけカバーできるように努力します」
今までだってそうだ。
毎日電話やメールをくれたり、帰ってくると必ず一番最初に会いに来てくれた。
寂しくても、決して不幸ではなかった。
「お父様、私……大丈夫です。秀明さんが離れていても……」
「わかっていないんだ、お前は」
私が口を挟むと、父は不機嫌にそう言い放った。
「今はいいかもしれない。
だけど、子供ができたらどうだ?
お前ひとりで育てなくてはならない時間が多いんだぞ」
子供……。
まだそこまで考えたことはなかった。
秀明さんと家庭をもって、いずれは子供ができて、楽しく暮らすことができたら素敵だ。
でも……。
「ですが、私は……」
「あなた」
私が口を開くと、それを制するように声を上げたのは母だった。