箱入り結婚のススメ
久しぶりに彼に手を握られると、心が穏やかになっていく。
本当に幸せなひとときだった。
私を家まで送り届けてくれた秀明さんは、車を降りようとする私を止める。
「舞」
「はい」
「すごく楽しかったよ」
「私もです」
こうやって言葉で伝えあうと、気持ちがより明らかになり、互いの理解が深まる気がする。
『舞には全部言わないと伝わらないから』なんて、彼は笑って言うけれど、これって大切なことなのかもしれない。
「明日も、来るよ」
「明日?」
「仕事で遅くなるかもしれないけど、失礼でないような時間に」
もしかして、父に会おうとしているの?
「でも……」
彼の仕事の忙しさは知っている。
だから、無理してほしくない。