箱入り結婚のススメ

秀明さんをリビングに案内すると、彼は父の前に正座する。


「夜分遅くに申し訳ありません。
舞さんとの結婚を許していただきたくて」

「勝手にしろと言ったはずだ」

「いえ。きちんと祝福していただけるまで、毎日お邪魔させていただきます」


毎日、なんて……。
彼の情熱に心打たれる。


相手が私でなければ、こんなに苦労しなかっただろう。

それに、父の言ったように勝手に結婚の話を進めたってよかったのかもしれない。
だけどそうしない秀明さんは、私と家族の絆を守ろうとしてくれている。


私も隣に座って頭を下げる。

この人なら大丈夫。
信じてついていけばいい。


「もう来なくていい」

「いえ、明日もお邪魔します。夜分にすみませんでした」


秀明さんはそれだけ言うと立ち上がり、リビングを出ていく。

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