箱入り結婚のススメ
「わかりました。出直します。
明日から五日ほど海外に行きますので、帰ってきたらまた参ります」
秀明さんが立ち上がった時、母が突然声を上げた。
「わかりました。私も出て行きます。舞は私の娘として嫁に出します」
「なんだって?」
父が顔色を変える。
「舞がかわいくて手放したくないのだと、あなたの気持ちを理解しようとしてきました。
だけど、度が過ぎています。
あなたはただ意地になっているだけ。舞に幸せになってほしいくせに」
母の目が潤んでいる。
「私はあなたが正しいと信じてついてきました。
時には、厳しすぎると思う舞への態度も、あなたがきっと正しいのだと。
私はあなたと結婚して、幸せだったんですよ?」
母の頬に涙が伝った。