箱入り結婚のススメ
「室賀君と、幸せになりなさい」
ずっと頭を下げていた秀明さんが、顔を上げて父の顔をハッと見つめる。
「舞を頼みます」
「……ありがとうございます」
私達の未来が開けた。
それから私は、できるだけ父と母と時間を共にするようにした。
父が寂しいのだと、痛いほどわかったからだ。
そして……おそらく秀明さんもそれを感じて、デートのたびに私の家に遊びに来てくれた。
きっと窮屈だっただろうに。
それでも四人で一緒に囲む食卓は、結婚前の私にとっては大切な時間となった。
父はニコニコしてはくれなかったけど、それでも決して嫌なことは言わなくなった。
それは、父なりの認め方なのだと、私達は話し合った。