箱入り結婚のススメ

昨日の夜は、ウーマンライフの“初めてのエッチ”という特集を何度も何度も読み返した。

積極的な意見もあって、不安が募ったのは否めない。
だけど、一番印象的だった意見は……『痛かったけど、彼のことが好きだから痛みさえもうれしかった』というものだった。

その一文を見て、麻子の言うとおり、秀明さんにすべてを委ねる決心ができた。


彼の大好きなキーマカレーを作るのは、何度目だろう。
少し辛めに仕上げると、とても喜んで何杯もお替りをしてくれる。

カレーが丁度出来上がったころ、チャイムが鳴ってドアホンを確認すると、秀明さんだった。


「おかえりなさい。今、開けますね」

「ただいま、舞」


ドアを開けた瞬間、腕をグイッと引き寄せられて、額にキスをされて驚く。


「ごめん。こうして迎えてもらえるのが、あんまりうれしくて」


なんだか照れくさくなった私は俯いた。

でも……彼と結婚したら、こんな日が続くのだと思うと、思わず笑みがこぼれる。
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