箱入り結婚のススメ
「カレーの匂いだ」
「はい。出来立てですよ」
示し合わせたかのように、秀明さんのお腹がグーっと鳴って、思わず顔を見合わせて噴き出した。
すぐにカレーをよそうと、彼は着替えてやって来た。
「あー、幸せだ。こういうの」
私の肩を後ろから抱いた秀明さんは、いつもとは少し違う甘えたような声。
こんな一面もあるのだと、思わず顔がほころぶ。
これからずっと、こんな幸せが続くのだ。
ふたりでカレーを食べつくしたあと、ソファでコーヒーを飲んでいると、結婚式の話になった。
「麻子が、招待客を選ぶのが大変だって」
「そうか。そんな苦労もあるんだな。
だけど、主役は舞なんだから、舞の好きなようにすればいいよ」
「はい」
「それに、舞のドレス姿、楽しみにしてる。そういえば……」
彼は突然立ち上がって、寝室に入って行く。
どうしたのかと思ったら、すぐに戻ってきて再び私の隣に座った。