箱入り結婚のススメ

やがて彼が果てたとき、私は言いようもない幸福感で満たされた。


「あぁ、舞。すごくよかった」

「でも……」


よかったなんて言われても、私は彼に身を委ねただけだ。
他の女性(ひと)なら、もっと彼だって満たされたかもしれないと考えてへこむ。


「愛する女の感じている顔は、たまらないものなんだよ」


すると、秀明さんが恥ずかしいことを口にするから、思わず顔を手で覆って彼に背を向けた。
すると彼は、私を後ろからギュッと抱き寄せてきた。


「ごめんな。痛かっただろう?」


私は小さく首を横に振った。

痛かったけど、すごく満たされた。
もしかしたら……彼もそうなのかもしれない。

セックスが上手い下手より、気持ちがつながるということで満たされるのだとよくわかった。

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