箱入り結婚のススメ

シャワーを借りると、もう二十二時を回っていた。
もう少し余韻を楽しみたいと思ったけれど、さすがに帰らないとまずい。


「離したくないな」


玄関を出るとき、彼が私を抱き寄せる。
彼も同じ気持ちだとわかって、思わず笑みがこぼれる。


「私も、です。帰りたくない」

「その殺し文句、ヤバいぞ。本当に帰したくなくなる」


クスクス笑った彼は、「今は我慢」と言って、私を車に乗せた。


初めて彼と体を重ねてから、私の中の気持ちが少し変化した。


彼との未来が、はっきりと見えてきた。

ふたりで同じものを食べ、同じベッドで眠り、同じ瞬間に笑いあう。
そんな生活が、私の頭の中に広がった。

< 332 / 450 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop