箱入り結婚のススメ
第4章
新しい家族
明日から、幼稚園は職員も夏休みシフトになる。
今までの休日出勤分のお休みをまとめてもらえた私は、同じく海外出張の時の代休をとれた秀明さんと、彼の実家に向かうことになっていた。
「秀明さん、緊張して眠れそうにないです」
私を家まで送ってくれた彼に、思わずそう漏らすと、彼は優しい顔で笑う。
「心配しないで。うちの両親は舞に会いたくて首を長くしているよ」
そうだとうれしいんだけど。
「舞のことだから、ウーマンライフで勉強してるんだろう?」
ケラケラ笑う秀明さんに返す言葉もない。
「そうです。だって、初めてでわからないから」
「バカだなぁ。結婚の挨拶なんて、何回もするもんじゃないだろ。皆初めてばかりだよ」
それもそうだ。
きっと秀明さんだってわからなかったに違いない。
それでも丁寧に自分の気持ちを話してくれた彼に、私は頼もしさを感じた。