箱入り結婚のススメ
駅のコンコースに入ると、室賀さんは私の路線を聞いて更に足を進める。
「もう、ここで。本当に……」
「早く帰りたくて仕方ない?」
「いえ、そうでは……」
せっかく送ってきてくれた人に対して、失礼だったのかもしれない。
しまった、と思った。だけど……。
「はぁー。困らせてすみません。僕、どうかしてる」
「どうかしてる?」
室賀さんがなにを言っているのかよくわからなくて、首をかしげる。
「こんな女性初めてで、どうしていいのかわからない」
「えっ?」
「いろんなオーラを出してみたけど、どうもダメみたいだし」
どういう、こと?
「もう、ストレートに言おう。
僕はあなたに興味を持ちました。だから、教えてもらえないかな?」
「えっ……」
教える?
私が戸惑っていると、室賀さんはスマホをポケットから取り出して、私に見せた。