箱入り結婚のススメ
「親父もお袋も、正直言って最初は驚いてた。
だけど、舞が一人娘で、舞自身が婿養子を取らなければならないことをすごく悩んでいると話したら、いい子だなって」
「えっ?」
「最近の若い子なら、なにを言われたって自分のしたいようにするだろうにって。
それなのに、両親のことも俺のこともきちんと考えてるんだなって」
私は小さく首を振った。
違う。なにかを捨てる覚悟ができないだけなんだ。
「俺はそんな舞が好きだよ。
俺のことが好きなら、家なんて捨てて来いってヤツもいるかもしれないけど、自分を育ててくれた親を大切に思う舞が、やっぱり愛おしい」
彼は私を腕の中に誘った。
優しく優しく私を包み込む彼の腕は、私に安らぎをもたらしてくれる。
「舞のしていることは、なにひとつとして間違ってないよ」
「――はい」
彼は私の背中に回した手で、いっそう強く抱きしめてくれた。