箱入り結婚のススメ
「すみません」
私の前には不揃いなサイズのシャリが、いくつも並んでいる。
「いいの、いいの。
これが手作りの醍醐味でしょう?
それに、こうやって秀明のお嫁さんと一緒に台所に立つのが夢だったの。
夢を叶えてくれてありがとう」
「いえ、こちらこそうれしいです」
こんなに優しくしてもらえると、胸がホカホカと温まるのを感じる。
お父様が買ってきてくれたという新鮮な生シラスは、軍艦巻きになった。
「私、初めてです」
「そうでしょう? 新鮮じゃないと食べられないから。
ほら、ひとつつまみ食い」
お母様が手に乗せてくれた軍艦巻きをありがたくいただいた。
「わぁ、すごくおいしいです!」
初めての生シラスは、淡泊な味だったけど、プチプチとした触感が独特でやみつきになりそうだ。